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原則4-8(独立社外取締役の有効な活用)、開示をやめる企業が続出

(2018年)6月1日から施行されている改訂コーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)の目玉の一つに挙げられるのが、原則4-8(独立社外取締役の有効な活用)の内容が変更され、コーポレートガバナンス報告書(以下、CG報告書)への記載対象から外れたという点だ。

【原則4-8.独立社外取締役の有効な活用】 ※赤字が改訂部分
独立社外取締役は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべきであり、上場会社はそのような資質を十分に備えた独立社外取締役を少なくとも2名以上選任すべきである。
また、業種・規模・事業特性・機関設計・会社をとりまく環境等を総合的に勘案して、自主的な判断により、少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場会社は、上記にかかわらず、そのための取組み方針を開示十分な人数の独立社外取締役を選任すべきである。

本原則の前段にある「独立社外取締役を少なくとも2名以上選任すべき」という内容は改訂前後で変わっておらず、独立社外取締役が2名未満でない限り、企業はエクスプレインする必要はない。今回の改訂のポイントは後段にある。

改訂前は、「少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要」と考える場合には、「そのための取組み方針」を開示すべきとされていた。逆に言うと、「独立社外取締役は3分の1未満で問題ない」と考えている場合には開示義務はなく、あくまで「3分の1以上が必要と考えているが現在は3分の1未満しかいない」企業に限って「取組み方針」の開示が求められていたということになる。

一方、改訂後の本原則では、「3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える」場合、「十分な人数の独立社外取締役を選任すべき」としているものの、何らかの開示を求めているわけではない。そもそも、改訂前の本原則についての開示事例を分析すると、「3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える」ことによる開示ではなく、下記のような“任意の説明”が多く見られたが、

・3分の1以上の選任を「必要ない」としたうえで「検討を続ける」とするもの
・そもそも「3分の1以上」という基準に触れないもの

本原則の改訂で開示義務そのものがなくなったことを機に、“任意の説明”を含め一切の開示をやめてしまうかどうかという点は論点となろう。

そこで、2018年8月20日のニュース「現時点における各社の改訂CGコード対応状況」で紹介したTOPIX500採用企業のうち一部の原則でも改訂CGコードに対応したCG報告書を提出した「24社」のCG報告書を確認してみたところ、下表のとおり、原則4−8については半数超の企業で何ら記載がなく、しかも今回記載がなかった13社のうち半数を超える7社は改訂を機に開示を取りやめたことが確認された。・・・

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