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日本版スチュワードシップ・コードによる議決権行使厳格化で「否決」増加も

 機関投資家の間で、日本版スチュワードシップ・コード(「責任ある機関投資家」の諸原則。以下「日本版コード」)の受け入れが進んでいる。金融庁は先週(2014年6月10日)、2月に確定した日本版スチュワードシップ・コードの受け入れを表明した機関投資家のリストを公表したが、その数は127におよぶ。金融庁は3か月ごとにリストを更新する予定で、初回の受け入れ表明の期限は5月末に設定されていた。日本版コードは「日本の上場株式に投資する機関投資家」が対象であり、リストには50の海外年金基金や運用機関などが含まれている。

 この127という数字は、日本版コードがモデルとし、2010年に英国FRC(財務報告評議会)によって策定されたスチュワードシップ・コード(以下、英国版コード)の初年度の数字を上回る。もっとも、英国版コードを受け入れた機関投資家は初年度こそ74に止まったが、その後は急激に増加しており、2013年には185にまで達している。これは、英国版コード導入後、年金基金などが運用委託契約を締結する際の条件として、その受け入れを運用会社に求めるようになったことが影響している。

 日本版コードが初年度から127と多くの機関投資家に受け入れられたのは、上述の英国版コードと同様のプレッシャーが早くも運用機関にかかったためだろう。例えば7兆円を超える運用資産を誇る国家公務員共済組合連合会も、新年度の資産運用委託先の選定作業に際し、各運用機関に「日本版コードを受け入れるか否か」を確認しているという。

 さらに、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は5月30日に公表した「スチュワードシップ責任を果たすための方針」で、「他の条件が同じであれば、スチュワードシップ責任をより果たしていると考えられる運用受託機関を高く評価する」ことを明らかにしている。そして、これに先立つ4月4日、GPIFは国内株式運用受託機関の選定で、アクティビストとして著名なファンドなど外資系を大幅に増やしている。国内系の運用機関としては、運用委託契約を確保するため、日本版コードに沿った取り組みが厳しく求められることになろう。

 このような動きは、上場会社にとってどのような影響があるのであろうか。具体的な影響としては、・・・

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