投資家向けには、資本コストとの比較のため「ROE」をKPIとして示すのが一般的だが、その一方で政府は、「大企業(TOPIX500)のROAについて、2025年までに欧米企業に遜色のない水準を目指す」という方針を打ち出している(2017年6月9日に閣議決定された「未来投資戦略2017 -Society5.0の実現に向けた改革-」114ページ参照)。ROAを高めればROEも向上することからも分かるように、ROAとROEに優劣や上下関係があるわけではないが、原価率を下げたり設備効率を上げたりするなど事業戦略を考え、収益性を高めるための議論をする場合には、ROAを使うことが適切と言える(詳細は2017年11月21日のニュース「上場企業の経営陣が重視すべきは「ROE」か「ROA」か」参照)。
資本コスト : 株主など資本提供者の期待利回りのこと。ここで「株主など」としたのは、負債にも資本コストはあるためである。
ROE : Return On Equity=株主資本利益率(利益/株主資本)。実務上、ROEの利益には「当期純利益」を使うことが多い。これは、株主資本に対応するのは、株主資本に帰属する当期純利益であるとの考え方による。
KPI : 定量的に示される重要業績評価指標(Key Performance Indicators=KPI)のこと。KPIの例としては「新規顧客の獲得数」「従業員1人あたりの経費」「総資産額」などがある。
ROA : Return On Assets =総資産利益率(利益/総資産))。実務上、ROAの利益には「営業利益」もしくは「事業利益」を使うことが多い。総資産に対応する利益は、営業利益あるいは事業利益であるという考え方による。
このROAに大きな影響を与えかない議論が、現在進んでいる。・・・
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