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GPIFの運用委託先が選ぶ「優れたCG報告書」、その選出理由は?

昨年(2018年)6月のコーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)の改訂に伴い、同年12月末が提出期限とされていた改訂CGコードに対応したコーポレート・ガバナンスに関する報告書(以下、CG報告書)の記載内容も必然的に大きく変化することとなった。とはいえ、各原則をコンプライするかエクスプレインするかはもちろんのこと、CG報告書への記載のボリュームも上場会社各社の判断に任せられているため、各社のCG報告書には記載内容の深度や見栄えに大きな違いが生じている。

こうした違いは、CG報告書の読み手である機関投資家からすると、「優れたCG報告書」と「そうでないCG報告書」の峻別へとつながることになる。世界最大の資金拠出者であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)はこのほど、国内株式の運用を委託している17の運用機関(このうちパッシブ運用機関は7、アクティブ運用機関は10)の協力を得て「優れたCG報告書」を選定し、公表している(2019年2月27日公表『GPIFの国内株式運用機関が選ぶ「優れたコーポレート・ガバナンス報告書」』参照)。これは、GPIFが運用機関に対し、CG報告書の記載内容が充実している上場会社を1機関当たり最大5社まで選定してもらった結果を取りまとめたもの。選定にあたっては、CGコードの改訂趣旨を踏まえているかどうかも考慮される。4機関以上の運用機関から高い評価を得た「CG報告書」を作成した会社名と、これらの会社に対し高い評価を付けた運用機関の数を多い順にまとめたのか下表である。

GPIF:Government Pension Investment Fundの略で、厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行う厚生労働省所管の独立行政法人。運用資産の規模が100兆円を優に超える世界最大の機関投資家である。

パッシブ運用 :パッシブ(「消極的」なという意味)運用とは、東証のTOPIXのような株価指数(インデックス)の値動きに連動する運用成果を目指し、株価指数を構成する銘柄をポートフォリオに組み入れるなどして、運用会社は定性的な判断を入れずに機械的に投資判断を行う運用手法であり、ファンドマネジャーが独自に銘柄を選択して運用する「アクティブ運用」とは対極の関係にある。

アクティブ運用 :銘柄を選別し、魅力のある銘柄を購入する一方で、見劣りする銘柄を売却するなどして利益を得ようとする投資手法のこと。アクティブ運用はパッシブ運用の対極の概念であり、運用担当者(ファンド・マネージャー)が、株式市場や投資銘柄などを調査し、今後の動向を予測することでポートフォリオを決定する。市場の平均的な収益率をベンチマークとし、これを上回る運用成果を上げることを目標にすることが多い。

【4機関以上の運用機関から高い評価を得た「CG報告書」】

会社名 高い評価を付けた
運用機関の数
花王 7機関
カゴメ 6機関
荏原製作所 6機関
みずほフィナンシャルグループ 5機関
エーザイ 4機関
コニカミノルタ 4機関
資生堂 4機関

上記各社のCG報告書のうち、他社でも参考になりそうな取組みを紹介しよう。・・・

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