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企業の採用意欲に影響の恐れ 修正版IFRSに調整表を添付も

 既にお伝えしたとおり、修正版IFRS*1については、「のれんの非償却」「OCI*2ノンリサイクリング*3」の2点をIFRSから削除したものとする方向で議論が収束しつつあり、7月中あるいは8月にも公開草案が公表される見込みとなっている(のれんの非償却については2014年4月7日のニュース「IFRS敬遠理由の1つ「のれん=非償却」という世界の常識は変わるか?」、OCIのノンリサイクリングについては2014年4月16日のニュース「持合株式の売却益は“利益操作”の道具か」参照)。

*1 IFRSの一部を自国会計基準に取り込んだもの(IFRSの一部を自国会計基準に取り込むことを「エンドースメント」という)。

*2 IFRSでは、会計上の操作がやりやすい「純利益」よりも、会社の資産の増減、すなわち「期末の純資産額-期首の純資産額」により求められる「包括利益(CI=Comprehensive Income)」が重視されている。この包括利益と純利益の関係を算式で表わせば「包括利益=純利益+その他の包括利益」となる。すなわち、「その他の包括利益(OCI= Other Comprehensive Income)」とは、純利益と包括利益の差額であり、「純資産のうち純利益(損益計算書)とは関係のないもの(=損益計算書に記載されず、直接貸借対照表に計上されるもの)」を指す。例えば、持合株式のような長期保有目的の有価証券の評価差額(帳簿価格と時価の差額)などはこれに該当する。同様に、持合株式の売却益もOCIとなり、永久に純利益として計上されることはない。

*3 その他の包括利益=OCIから純利益への振り替えを認めないこと。認めることを「リサイクリング」という。

 あとは修正版IFRSの名称をどうするかという問題さえクリアすればという段階まで来ているかと思いきや(2014年6月9日のニュース「IFRS採用企業数を左右する日本版IFRSの“ネーミング問題”」参照)、ここに来て、企業の修正版IFRS採用意欲に大きく影響しかねない問題が浮上した。

 これは、・・・

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