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政策保有株式の定量的な保有効果の開示例

周知のとおり、2019年3月期の有価証券報告書からは、政策保有株式について「会社の経営方針・経営戦略等、事業の内容及びセグメント情報と関連付けた定量的な保有効果(定量的な保有効果の記載が困難な場合には、その旨及び保有の合理性を検証した方法)」を、【コーポレート・ガバナンスの状況等】【株式の保有状況】において開示することが求められるようになった(【2018年11月の課題】新たな有報における「役員報酬」と「政策保有株式」の記載事項参照)。この開示は、下記のコーポレートガバナンス・コード【原則1-4.政策保有株式】の内容(下線部参照)が反映されたものであり、政策保有株式の保有意義・効果について厳しい見方もある中、資本コストをかけリスクをとって政策保有株式を保有する以上、政策保有に関する方針や目的、効果は、経営者により具体的かつ十分に説明されるべきと言える。また、この開示により、定量的な保有効果がない政策保有株式は保有の継続が困難となり、結果として売却され、経営者が売却により得た資金をより収益性の高い事業等に対して投資することが期待されている。・・・

資本コスト : 株主など資本提供者の期待利回りのこと。資本コストが小さい=投資家にとってのリスクが小さいということになる。ここで「株主など」としたのは、負債にも資本コストはあるためである。株主資本により資金調達を行った場合のコストが「株主資本コスト」であり、株主資本の提供者である株主が期待する収益率のことを指す。一方、他人資本コストとは要するに借入金の金利を指す。この株主資本と他人資本を合わせた「総資本」のコストが「総資本コスト」である。総資本コストは、株主資本コストと他人資本コストを、株主資本(株式の時価総額)と他人資本(負債総額)の合計額に占めるそれぞれ額で按分(加重平均)した上で合計するため「加重平均資本コスト」、英語では「Weighted Average Cost of Capita=WACC(ワック)」と呼ばれる。

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