日本シェアホルダーサービス株式会社
シニアアナリスト 水嶋 創
シニアアナリスト 水嶋 創
本年(2019年)の株主総会の特徴として「過去最多の株主提案」が挙げられることがある。ただし、実際に本年6月に開催された東証一部上場企業の定時株主総会を対象に株主提案をカウントしてみると、その数は123議案に上るものの、実はこの「議案数」は過去最多ではない。一方、提案を受けた「企業数」は37社であり、これは確認できる範囲で「過去最多」である。現行の会社法では、「提案の数」に関する制限がなく、一人の株主が多数の議案を提案することも可能であるため、「議案数」は変動しがちなことを踏まえると、「企業数」の方がより全体的な傾向を表していると言えるだろう。
株主提案を受けた企業としては、その賛成率をなるべく低水準にとどめたいと思うのが一般的だろう。では、その具体的な水準としてはどのようなものが考えられるだろうか。本年の株主提案の議案の種類として最も多かった定款変更議案を例に検討してみよう。
まず、“絶対防衛ライン”とも位置づけられるのが・・・
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