日本企業のIFRS導入を増やすための切り札として期待されてきた「日本版IFRS(エンドースメント*されたIFRS)の開発だが、昨年(2013年)7月からの約1年間の長きにわたる議論を経て、ようやく内容が固まった。日本の会計基準を作成する企業会計基準委員会(ASBJ)は7月中にも公開草案を公表する予定だ(10月末まで意見募集)。
* IFRSの一部を自国会計基準に取り込むこと。
企業の日本版IFRS採用意欲に大きな影響を与えかねないとして注目を集めてきた“ネーミング問題”は(2014年6月9日のニュース「IFRS採用企業数を左右する日本版IFRSの“ネーミング問題”」参照 )、「修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)」で決着した(略称は「修正国際基準」)。英語表記では「Japan’s Modified International Standards(JMIS)、Accounting Standards Comprising IFRSs and the ASBJ Modifications」、略称は前半部分の頭文字をとって「JMIS(ジェイミス)」となった。
ネーミング問題の焦点は「IFRS」の4文字が入るかどうかだったが、この点、IFRSを作成する国際会計基準審議会(IASB)は、自身のブランドを守るために、「IFRS」の表記が入ることを最初から拒んでいたようだ。一方で、金融庁およびASBJとしては、今回の日本版IFRSの導入が「IFRSのエンドースメント手続」と分かる名称でなければ、そもそも導入の意義が伝わらないため、是が非でも「IFRS」の表記を入れたいと主張してきた。このせめぎ合いが、カッコ内に「国際会計基準(IFRS)」という記載を入れることで折り合ったということだ。
肝心の中身については、・・・
このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。