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投資家が期待する政策保有株式の開示

周知のとおり、2019年3月期の有価証券報告書から【株式の保有状況】の状況において政策保有株式に関する開示が強化されている。有価証券報告書が求める主な開示内容は、下記のとおり概ねコーポレートガバナンス・コード【原則1-4.政策保有株式】に沿ったものとなっている。

【原則1-4.政策保有株式】 : 上場会社が政策保有株式として上場株式を保有する場合には、政策保有株式の縮減に関する方針・考え方など、政策保有に関する方針を開示すべきである。また、毎年、取締役会で、個別の政策保有株式について、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を具体的に精査し、保有の適否を検証するとともに、そうした検証の内容について開示すべきである。上場会社は、政策保有株式に係る議決権の行使について、適切な対応を確保するための具体的な基準を策定・開示し、その基準に沿った対応を行うべきである。

1.政策保有株式全体
①提出会社の保有方針
②保有の合理性を検証する方法
③個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容
2.銘柄別開示
①保有目的
②提出会社の経営方針・経営戦略等、事業の内容及びセグメント情報と関連付けた定量的な保有効果(定量的な保有効果の記載が困難な場合には、その旨及び保有の合理性を検証した方法)

政策保有株式に関する開示の強化は、企業間で戦略的提携を進める場合等に政策保有は意義があると考える企業側と、「安定株主の存在が企業経営に対する規律の緩みを生じさせているのではないか」「保有に伴う効果が十分検証されず資本効率が低い」といった疑念を抱く投資家の間に存在するギャップを背景に実現したものだが、実際、各社の2019年3月期有価証券報告書を見ると、投資家の期待とはかけ離れた開示事例が少なからず存在するというのが現状となっている(2019年10月1日のニュース「政策保有株式保有の合理性に関する開示が不十分な事例」参照)。
 
こうした中、金融庁は・・・

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