2019年11月20日のニュース「気候変動関連の株主議案への賛成率、日本の運用会社トップは?」でお伝えした英国のNGO「ShareAction(シェアアクション)」のレポート「Voting Matters: Are asset managers using their proxy votes for climate action?(運用会社は気候変動の株主提案に賛成しているのか?)」が波紋を呼んでいる。パリ協定の実現を目指すグローバルな機関投資家の団体である「Climate Action 100+」に参加するメンバーや、金融安定理事会(FSB)が設置した気候変動リスクの情報開示を進めるTCFD(The FSB Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同するサポーターであるにもかかわらず、気候変動に関する株主提案への賛成率が極めて低い運用会社が少なからず含まれているからだ。
パリ協定 : 2015年末にパリで開催されたCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)で採択された2020年以降の温暖化対策の国際的枠組み。パリ協定では、18世紀後半に起きた産業革命前と比較し、気温の上昇を「2℃以内」にとどめることを目標としており、各国に対し、温室効果ガスの排出削減目標を設定のうえ、5年ごとに進捗報告およびより厳しい目標への更新を行うことを義務付けている。
Climate Action 100+ : 機関投資家が、温室効果ガスを排出する世界最大級の企業と協力し、こうした企業が気候変動に関するガバナンスを改善するとともに、排出量を抑制し、気候関連の財務情報の開示を促進するために設立された団体。
金融安定理事会(FSB) : 主要国の金融当局で構成される国際的な金融システムの安定を目的とする組織。中央銀行、金融監督当局、財務省、IMF(国際通貨基金)、世界銀行、BIS(国際決済銀行)、OECD(経済協力開発機構)なども参加している。
同レポートは欧米をはじめとする世界各国の大手資産運用会社57社を対象に、気候変動に関する65の株主提案に対する賛否を確認したものであり、上記「気候変動関連の株主議案への賛成率、日本の運用会社トップは?」では賛成率が高かった運用会社トップ10を紹介したが、ワースト10は下表のとおり。・・・
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