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IFRSにおける「のれん償却」の最新動向

M&Aなどにおいて生じる「のれん」は、日本の会計基準では最長20年の償却期間にわたって償却(費用計上)しなければならないが、現状、IFRS(国際会計基準)では償却しなくてよいことになっており、このことは企業がIFRSを採用する大きなインセンティブ(のれんの償却費計上による利益の減少を回避できる)の一つとなっている。こうした中、IFRSを策定している国際会計基準審議会(IASB)で、のれんの償却義務付けが検討されていることは2018年10月3日のニュース『IFRSにおける「のれん」の償却義務化議論の方向性』でもお伝えしたとおりだ。2018年7月にロンドンで開催されたIASBでは、「のれんの償却」を検討することについて、14人のIASBメンバーのうち・・・

のれん : 企業を買収したり合併したりする際における「支払対価-企業の時価純資産」こと(これがプラスの場合、「正ののれん」という。以下は「正ののれん」を前提とする)。のれんは「財務諸表には表れない企業の価値」と言える。つまり、のれんは投資原価の一部を構成している。このため、そこで日本の会計基準では、のれんについては「20年以内の期間」で償却し、のれんの価値が下がった場合には「減損」を行うことになっている。一方、IFRSおよび米国会計基準では、「のれん」の定期償却は認められていない(減損処理しか認められない)。そこには、利益の平準化を好む日本型経営と、業績好調時にはできるだけ利益を出し、逆に業績悪化時にはすべて“膿”を出すという欧米型経営の発想の違いがある。

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