投資先企業との対話強化のために企業年金連合会と大手金融機関の連携により設立(2017年10月)された、信託銀行などパッシブ運用を行う運用機関が集団的エンゲージメント(*)を行うためのプラットフォーム「一般社団法人機関投資家協働対話フォーラム(IICEF)」は(2020年)9月9日、新たなエンゲージメント・アジェンダ「政策保有株式に関する方針」を公表し、政策保有株式を保有する企業へ協働対話をお願いするレターを送付した(機関投資家協働対話フォーラムの詳細は2017年11月8日のニュース『集団的エンゲージメントを支援する「機関投資家協働対話プログラム」が始動』を参照)。
パッシブ運用 : 東証のTOPIXのような株価指数(インデックス)の値動きに連動する運用成果を目指し、株価指数を構成する銘柄をポートフォリオに組み入れるなどして、運用会社は定性的な判断を入れずに機械的に投資判断を行う運用手法のこと。パッシブとは「消極的な」という意味である。パッシブ運用に対し、銘柄を選別し、魅力のある銘柄を購入する一方で、見劣りする銘柄を売却するなどして利益を得ようとする投資手法がアクティブ運用である。
同フォーラムは2019年3月にも同様のアジェンダを公表し、企業との協働対話を行っており、政策保有株式に関する方針をアジェンダに選定するのは今回が2度目となる。
同フォーラムの2019年9月期活動報告によると、前回は各業界の主要企業複数社と協働対話を行い、政策保有株式の実情を認識するとともに、削減に向けた企業の努力を理解したが、その一方で、コーポレートガバナンス(以下、CG)・コード原則1-4①に反して保有株式売却の打診を断る企業の存在も確認し、今後の対話の参考にしたとしている。
コーポレートガバナンス(以下、CG)・コード原則1-4 : 上場会社は、自社の株式を政策保有株式として保有している会社(政策保有 株主)からその株式の売却等の意向が示された場合には、取引の縮減を示唆す ることなどにより、売却等を妨げるべきではない。
今回のレターでは、前回の協働対話を踏まえ、政策保有株式の保有額が大きい主要な企業や、多くの企業に株式を政策保有されている企業の経営トップおよび社外取締役との協働対話を依頼しており、質問事項も前回と比べかなり踏み込んだ内容となっている(下表参照)。・・・
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