既報のとおり、今年(2020)1月にはダボス会議の場で、同会議の母体である世界経済フォーラムの諮問機関である国際ビジネス評議会によりとりまとめられたESG情報に関する新たな開示フレームワークの草案が公表されたが(2020年1月27日のニュース「ESG情報の開示フレームワーク、統一へ」参照)、この国際ビジネス評議会の動きを含め、ESG情報の開示フレームワークを統一しようという動きが加速している。
ダボス会議 : 1971年に発足した非営利財団「世界経済フォーラム」(本部:スイス・ジュネーブ)が毎年1月に開催する年次総会のこと。スイスの有名な保養地であるダボスで開催されることから「ダボス会議」との名前が付いた。ダボス会議には、日本の首相を含む各国を代表する政治家や実業家が一堂に会し、世界経済や環境問題など幅広いテーマについて議論するだけに、同会議における決定・公表事項は世界に強い影響力を持つ。
国際ビジネス評議会 : 世界的企業のCEO約120名で構成されており、国際社会におけるビジネス上の課題解決策を提案する機能を持つ。
ESG : ESGとは、「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を組み合わせたもので、近年、特にグローバル機関投資家の間で、企業の投資価値を測る評価項目としての地位を確立しつつある。
近年深刻さを増している気候変動にコロナ禍が追い打ちをかけ、サスティナブル(持続可能)な社会の実現への関心は投資家の間でも一層高まっている。これに伴い、上場企業に対しESG 情報の開示を求める投資家のプレッシャーは益々強まることが予想される。ただ、企業はもちろん投資家にとっても悩ましいのが、ESG情報の開示にあたっての統一的なフレームワーク(枠組み)がいまだに存在しないということだ。現状、ESG情報の開示には複数のフレームワークが“乱立”しており、このことは、開示書類を作成する側の企業のみならず、各企業の比較可能性という観点から投資家にも混乱をもたらしている。
現時点におけるESG情報開示のフレームワークとして世界で最も多く利用されているのが、・・・
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