既報のとおり、2021年3月1日に施行される改正会社法により、上場会社は取締役と執行役(以下、取締役等)への報酬として株式を「無償」で交付することが可能とされた(改正会社法202条の2)。これにより、これまで行われていた「取締役等が会社への役務提供により得る“報酬債権”を会社に現物出資し、これと引き換えに株式の交付を受ける」(以下、現物出資スキーム)という面倒な手法は上場会社が自社の取締役等に株式報酬を支払う場合には不要となる(2020年9月25日のニュース『改正会社法で導入された株式報酬、「事前交付」と「事後交付」の違い』参照)。
上記会社法の改正を受け、企業会計基準委員会(ASBJ)は(2020年)9月に実務対応報告公開草案第60号「
取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い(案)」(以下、株式無償交付に関する会計基準)を公表し、株式を無償交付する場合の会計処理を明らかにしている。
これまで株式報酬の支給に活用されてきた現物出資スキームでは・・・
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