一橋大学大学院 経営管理研究科 准教授
金融庁「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」メンバー
円谷 昭一
東京証券取引所が市場区分の見直しを進めている。具体的には、現行の市場第1部・市場第2部・マザーズ市場・JASDAQ市場を、プライム市場・スタンダード市場・グロース市場へと再編し、2022年4月4日に新市場へと移行する。このうちプライム市場上場会社に対しては「より高いガバナンス水準」を備えることが求められている。そして、プライム市場上場会社に適用することを念頭に、コーポレートガバナンス・コードの改訂も現在進められている。現時点ではコーポレートガバナンス・コードの改訂案はまだ公表されていないが、社外取締役に関する改訂項目を切り出す形で、昨年12月18日にはコード本体の改訂案の公表に先行して金融庁から『「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」意見書(5)-コロナ後の企業の変革に向けた取締役会の機能発揮及び企業の中核人材の多様性の確保』(以下、意見書)が公表されている。意見書の中には以下のような記載があることから、「スキル・マトリックス」への注目が高まっている。
円谷研究室の調査では、現在135社の日本企業がスキル・マトリックスを任意で作成・開示していることが確認されている。開示媒体は招集通知または統合報告書のいずれかとなっている。以下、これら135社のスキル・マトリックスの特徴を明らかにする。
円谷研究室は、135社のうちデータの集計に必要な情報を完全には入手することができなかった7社を除外し、128社のスキル・マトリックスを調査した。まず、社内取締役・社外取締役ともにスキルを開示している企業が・・・
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