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厚労省が新たな履歴書の様式例案を公表、企業に真っ先に求められる対応

周知のとおり、2020年7月にLGBT当事者を支援する団体から JIS規格を管轄する経済産業省などに履歴書様式の検討(性別欄の削除等)を求める要請が行われたことを受け、既にJIS規格から履歴書の様式例が削除されている。また、事務用品最大手のコクヨは性別の開示を希望しない求職者のニーズに対応するため、かつては氏名欄の横にあった「性別欄」のない履歴書の販売を2020年12月から開始している。

JIS規格 : JISとは(Japanese Industrial Standards)の略で、日本産業規格と訳される。日本の産業製品などについて国レベルの「規格」を制定し、これを全国的に「統一」または「単純化」することを目的としている。自由に放置しておけば、多様化・複雑化・無秩序化してしまいかねないモノやコトについて「標準化」を図ることにより、互換性の確保、品種削減を通じた量産化による生産の効率化、取引の単純化の促進などが期待される。JIS規格の対象には、自動車や電化製品、生活用品などの産業製品生産に関するものから、プログラムなどの情報処理、サービスに関するものなどがある。基本的に「規格」は任意であるが、法規などに引用された場合は強制力を持つことになる。

従来、JIS規格の履歴書の様式例の使用を推奨してきた厚生労働省は、履歴書の様式例がJIS規格から削除されたことに伴い、労働政策審議会職業安定分科会において履歴書の様式例について検討を行っていたが、2021年4月16日に開催された第163回の会合で新たな履歴書の様式例(案)を明らかにした。

様式例(案)では、性別欄自体は設けられているものの、「男・女」のいずれかを選択するのではなく任意記載となっている。そして欄外に「記載は任意です。未記載とすることも可能です。」との注記が追加されている。さらに、「配偶者」「扶養家族数」「配偶者の扶養義務」「通勤時間」の各欄も削除されている。これらの項目は採用選考の公正性を確保するためには不要と判断した。

分科会は、本様式例には法的拘束力はなく、当該様式を使用するかどうかは各企業で判断することが可能としつつも、別の様式の応募用紙を使用する際には就職差別につながる項目を含めないよう留意が必要としている。

ここでいう“別の様式の応募用紙”の一つとして想定されるのが、・・・

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