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TCFD、9月までにガイダンス公表へ 企業が“TCFD開示”において持つべき視点

三菱UFJ信託銀行株式会社
法人コンサルティング部
弁護士 岡田 徹

(2021年)6月11日、改訂コーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)が確定し、公表された。改訂CGコードでは、プライム市場上場会社に対し、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、「TCFD」またはそれと同等の枠組みに基づく開示を求める補充原則3-1③が新設されたが(2021年4月7日のニュース「英文開示、気候変動開示はどこまでやればよい?」、同15日のニュース「改訂CGコード解説(4)「中長期的な持続可能性」に関する補充原則」参照)、同原則も改訂案どおりの内容で確定している。

補充原則3-1③
上場会社は、経営戦略の開示に当たって、自社のサステナビリティについての取組みを適切に開示すべきである。また、人的資本や知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ分かりやすく具体的に情報を開示・提供すべきである。
特に、プライム市場上場会社は、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、必要なデータの収集と分析を行い、国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべきである。

TCFDとは「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の略称であり、TCFDが2017年に公表した最終報告書は気候関連の開示フレームワークのスタンダードとして定着しつつある。TCFDが求める開示の要素には、①ガバナンス、②戦略、③リスク管理、④指標と目標がある。

TCFD : 主要国の金融当局(中央銀行、金融監督当局、財務省)やIMF(国際通貨基金)、世界銀行、BIS(国際決済銀行)、OECD(経済協力開発機構)などで構成される国際的な金融システムの安定を目的とする組織である金融安定理事会(FSB)が設置した組織。TCFDとは「Task Force on Climate-related Financial Disclosures」の略である。TCFDが2017年6月に公表した最終提言は、気候変動リスクに関する情報開示のフレームワーク(枠組み)のグローバルスタンダードになりつつある。(文責:上場会社役員ガバナンスフォーラム)

フォローアップ会議の場では各メンバーがかねてからTCFDに言及していたため、これが改訂CGコードに盛り込まれることは予想されていたものの、既に開示の準備ができているという企業は少ないのが現状だ。特に、気候変動という全くの不確定要素についてどのような戦略を定めればよいのか(上記②)、また、どういった指標・目標を定めればよいのか(上記④)という点は悩ましいところだろう。

「開示」というと、実務を担当する管理部門は形式や表現といった“技巧”に走り勝ちだが、TCFD開示において見失ってはならないのが・・・

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