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改訂CGコードに対応したCG報告書を提出した企業が早くも出現

3月決算会社の定時株主総会が終了し、「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」(CG報告書)の更新が相次ぐ時期となった。コーポレートガバナンス・コード(CGコード)は2021年6月11日に改訂されたものの、3月決算会社がこのタイミングでCG報告書を定期更新するにあたり依拠するCGコードは「改訂前」のものでよいとされており、CG報告書の内容に変更が生じた場合には、「準備ができ次第速やかに、遅くとも2021年12月末日までに変更後のCG報告書を提出する」ことになる(2021年5月26日のニュース「当面のCG報告書の提出時期と内容」参照)。実際、ほとんどの3月決算会社が改訂前のCGコードに基づきCG報告書を更新している。

12月末までに提出する改訂CGコードに対応したCG報告書を作成するにあたり上場会社が対応に頭を悩ませているのが、新たな開示事項が生じることとなる次の2つの補充原則への対応だ。

※赤字は当フォーラムによる
補充原則2-4①
上場会社は、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等、中核人材の登用等における多様性の確保についての考え方と自主的かつ測定可能な目標を示すとともに、その状況を開示すべきである。
また、中長期的な企業価値の向上に向けた人材戦略の重要性に鑑み、多様性の確保に向けた人材育成方針と社内環境整備方針をその実施状況と併せて開示すべきである。

補充原則3-1③
上場会社は、経営戦略の開示に当たって、自社のサステナビリティについての取組みを適切に開示すべきである。また、人的資本や知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ分かりやすく具体的に情報を開示・提供すべきである。
特に、プライム市場上場会社は、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、必要なデータの収集と分析を行い、国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべきである。

「多様性の確保に向けた人材育成方針と社内環境整備方針」をまだ定めていない上場会社にとっては、他社の開示事例がある程度集まらないと、どのような方針を定めれば「コンプライ」できる水準と言えるのか、イメージを持ちにくいところだろう。また、統合報告書を作っていない上場会社からは「人的資本や知的財産への投資についての情報」の開示内容のイメージがわかないとの声も聞かれる(なお、補充原則3-1③の第2段落の「特に・・・」以降はプライム市場上場会社のみを対象としているため、2022年4月以降に開催される各社の株主総会の終了後に更新するCG報告書から記載することが想定されたものである。この点については2021年5月26日のニュース「当面のCG報告書の提出時期と内容」参照)。

こうした中、本日(2021年7月2日)時点で改訂CGコードに依拠してCG報告書を更新した3月決算会社が早くも出現している。・・・

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