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“中核人材”3項目について投資家の間で存在する序列

2021年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)に新たに盛り込まれた原則の中でも、中核人材の多様性に関する補充原則2-4①は、コーポレート・ガバナンス報告書(以下、CG報告書)に対応状況の記載が求められる「特定の事項を開示すべきとする原則」となっている。このため、プライムあるいはスタンダード市場に移行しようという上場会社各社は、自社の中核人材の現状確認と目標の設定、そして開示方法の検討を迫られている。

補充原則2-4①
上場会社は、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等、中核人材の登用等における多様性の確保についての考え方と自主的かつ測定可能な目標を示すとともに、その状況を開示すべきである。
また、中長期的な企業価値の向上に向けた人材戦略の重要性に鑑み、多様性の確保に向けた人材育成方針と社内環境整備方針をその実施状況と併せて開示すべきである。

CG報告書の記載要項では、補充原則2-4①の開示方法について以下の注記を設けている(4ページ参照)。要するに、基本的には「女性」「外国人」「中途採用者」の3項目全てについて「自主的かつ測定可能な目標」の開示が必要としつつも、一部の項目でこれを示さない場合にはその理由を記載することでコンプライとして構わない、とのスタンスを東証が明確にしたものと言える。

※補充原則2-4①の開示にあたって、「女性」「外国人」「中途採用者」の管理職への登用 については、本3項目の中に、「自主的かつ測定可能な目標」を示さないこととする項目 がある場合には、その旨及びその理由を「中核人材の登用等における多様性の確保についての考え方」において記載してください。

また、改訂に際して実施されたパブリックコメントへの回答として、東証は以下の考え方を示している(103ページの番号「252」「253」への回答参照)。これは、必ずしも「20xx年に○.○%を目指す」など明確な数値を用いた目標設定でなく、「現状の○割程度を当面維持する」といったやや曖昧な表現であってもコンプライとして差し支えないということだろう。

※ 補充原則2-4①では、「自主的かつ測定可能な目標を示す」とされておりますところ、特定の数値を用いた目標のほか、例えば、
・程度という表現やレンジ(範囲) を用いてお示しいただく形
・現状の数値を示した上で「現状を維持」「現状より増加させる」といった目標をお示しいただく形
は「測定可能な目標」に含まれると考えられます。 また、努力目標としてお示しいただく形、なども「測定可能な目標」に含まれると考えられます。

以上のように、補充原則2-4①の「自主的かつ測定可能な目標」については、「女性」「外国人」「中途採用者」の3項目すべてが揃っていなくても、また、明確な数値を用いない曖昧な表現であってもコンプライとして問題ないというが東証の公式見解と言える。

ただし、これが必ずしも機関投資家の考えと一致しているわけではない点、注意したい。・・・

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