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KAMが一つもないと判断された理由

周知のとおり、会計監査人(監査法人等)は、2021年3月期の有価証券報告書に対する監査から、会計監査上の主要な検討事項である「KAM」を監査報告書に記載することが義務付けられている。KAMとは、会計監査人が当年度の財務諸表の監査の過程で監査役等と協議した事項のうち、職業的専門家として当該監査において「特に注意を払った事項」を指す。要するに、KAMは監査役等とコミュニケーションをとった項目の中から相対的な重要性によって決定されることになる。KAMの個数についての目安は設けられていないものの、「特に注意を払った事項」がKAMとなるため、必然的に個数はある程度絞られる。

日本公認会計士協会から公表されている「監査報告書に係るQ&A」Q2-6には、「KAMがないと判断することはまれであり、少なくとも一つは存在する」との記述がある。

<「監査報告書に係るQ&A」Q2-6より抜粋>
上場企業の監査において、監査人が監査役等とコミュニケーションを行った事項の中に、監査報告書において報告すべき監査上の主要な検討事項がないと判断することはまれであり、少なくとも一つは存在していると考えられる。しかしながら、例えば、企業の実質的な事業活動が極めて限定される状況においては、監査人が特に注意を払った事項がないため、監査上の主要な検討事項がないと監査人が判断することはある。

当フォーラムが2021年3月末から5月末決算会社の有価証券報告書に対する監査報告書を調査したところ、KAMがないと判断された会社の状況は下表のとおりだった。・・・

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