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サステナビリティ委員会は設立すべきか

2021年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)には、サステナビリティに関する新たな内容が多く盛り込まれた。その代表的なものが補充原則2-3①であり、取締役会がサステナビリティを巡る課題に対して「積極的・能動的に取り組むよう検討を深める」ことを求めている。

補充原則2-3①
取締役会は、気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等への危機管理など、サステナビリティを巡る課題への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、中長期的な企業価値の向上の観点から、これらの課題に積極的・能動的に取り組むよう検討を深めるべきである。

この補充原則2-3①に対応して新設された「投資家と企業の対話ガイドライン」(以下、対話GL)の1-3では、後段で「サステナビリティ委員会」の設置に言及している。周知のとおり、対話GLはCGコードの「実効的なコンプライ・オア・エクスプレイン」を促すものであり、その趣旨に鑑みると、サステナビリティ委員会を設置することが、補充原則2-3①をはじめとするサステナビリティ関連の原則(原則2-3補充原則3-1③補充原則4-2②)をコンプライするための早道のように考える企業が少なくない。

1-3. ESGやSDGsに対する社会的要請・関心の高まりやデジタルトランスフォーメーションの進展、サイバーセキュリティ対応の必要性、サプライチェーン全体での公正・適正な取引や国際的な経済安全保障を巡る環境変化への対応の必要性等の事業を取り巻く環境の変化が、経営戦略・経営計画等において適切に反映されているか。また、例えば、取締役会の下または経営陣の側に、サステナビリティに関する委員会を設置するなど、サステナビリティに関する取組みを全社的に検討・推進するための枠組みを整備しているか。

しかし、サステナビリティ委員会をサステナビリティ関連の各原則をコンプライするための“魔法の杖”のように捉え、安易に設置に走ることは必ずしも正しい選択とは言えない。・・・

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