ミドリムシを活用した食品や化粧品の販売で知られる(株)ユーグレナは(2021年)8月26日、下記のとおり、青汁で知られるキューサイ(株)を連結子会社化したことに伴い、連結決算業務の効率化や今後の海外展開を見据え決算期をキューサイと同じ12月決算に移行(従来は9月決算)するための定款変更などを目的に臨時株主総会を開催している(臨時株主総会の招集通知はこちら)。
(1)変更の理由 当社の事業年度は、「毎年10月1日から翌年9月30日まで」としておりますが、2021年5月14日付の当社プレスリリースにおいて公表いたしましたキューサイ株式会社(以下、「キューサイ」といいます)の連結子会社化プロセスの開始を踏まえて、当社とキューサイの事業年度を一致させることにより、連結決算や監査対応に伴う業務の効率化及び負荷軽減を図ること、並びに、当社グループの今後の海外展開の可能性を見据えて、グローバルスタンダードである12月決算に揃えること、などを目的として、事業年度を「毎年1月1日から12月31日まで」に変更するものであります。 |
同社の臨時株主総会は日本初のバーチャルオンリー株主総会として開催されたことで注目を集めた。総会への出席者562名のうち約3分の1は関東以外の遠方からの出席であり、スムーズな議事進⾏を経て全議案が可決されたという(バーチャルオンリー総会に関する同社のリリースはこちら)。
バーチャルオンリー株主総会 : リアル株主総会を開催せず、全出席者が遠隔地からインターネット等で参加する株主総会。日本の会社法では、株主総会を招集するには、開催する「場所」を定めることを求めていることから(会社法298条1項1号)、実現は困難とされていたが、2021年6月19日より施行された改正産業競争力強化法において上場会社に限り会社法の特例として「場所の定めのない株主総会」の開催が可能となった。
日本初のバーチャルオンリー株主総会ということに加え、今回のユーグレナの臨時株主総会に関連して注目を集めたのが、決算日の変更(9月30日→12月31日)に伴い、今期だけ15か月決算(2020年10月1日から2021年12月31日までの15か月決算)になったということだ。旧商法では事業年度が1年を超えることは認められなかったが、現行会社法の下では、決算期の変更を行った直後の事業年度については「最長1年6か月(18か月)」とすることが可能とされている。
会社計算規則第59条 (略) 2 各事業年度に係る計算書類及びその附属明細書の作成に係る期間は、当該事業年度の前事業年度の末日の翌日(当該事業年度の前事業年度がない場合にあっては、成立の日)から当該事業年度の末日までの期間とする。この場合において、当該期間は、1年(事業年度の末日を変更する場合における変更後の最初の事業年度については、1年6箇月)を超えることができない。 |
当フォーラムが過去10年分の有価証券報告書を調査したところ、事業年度の最長は17か月(3社が該当)だった。以下は、エコモット(株)の有価証券報告書中、【経理の状況】の冒頭の記載である。
(3)当社は、2019年6月27日開催の第13期定時株主総会において、定款の一部変更を決議し、決算期を3月31日から8月31日に変更いたしました。これに伴い、当連結会計年度及び当事業年度は、2019年4月1日から2020年8月31日までの17ヶ月間となっております。 |
決算期変更を行う理由としては、親子会社の決算期の統一が最も多い。決算期を統一することにより、決算業務等の効率化を図ることができるうえ、企業グループとしての財務諸表が分かり易くなり投資家へのアピール力も高まる。ただ、決算期変更を行った直後の事業年度が変則決算となって1年を超えることとなった場合、取締役の任期や、「事業年度=1年」を前提に定められた役員報酬限度額などとの兼ね合いなどの疑問が生じる。
そこで本稿では、以下を前提に、決算期変更により事業年度が1年を超えることとなった場合の主な留意点を解説しよう。・・・
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