TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース。以下、適宜「タスクフォース」という)は2021年10月14日、企業向けの2つのガイダンスを公表している。1つはTCFDが2017年に最終報告書(以下、「勧告」という)を公表した際の付属書である実施ガイダンスを初めて改訂した「Implementing the Recommendations of the Task Force on Climate-related Financial Disclosures」、もう1つは、TCFD開示の4要素(2021年7月7日のニュース「TCFD開示の4要素のうち有報での開示が必須となりそうな2要素とは?」参照)を構成する「指標と目標」および「移行計画」についての新規のガイダンス「Guidance on Metrics, Targets, and Transition Plans」だ。
TCFD : 主要国の金融当局(中央銀行、金融監督当局、財務省)やIMF(国際通貨基金)、世界銀行、BIS(国際決済銀行)、OECD(経済協力開発機構)などで構成される国際的な金融システムの安定を目的とする組織である金融安定理事会(FSB)が設置した組織。TCFDとは「Task Force on Climate-related Financial Disclosures」の略である。TCFDが2017年6月に公表した最終提言は、気候変動リスクに関する情報開示のフレームワーク(枠組み)のグローバルスタンダードになりつつある。
実施ガイダンスの改訂では、勧告の「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」という開示の4要素とその下に設定された11の推奨事項(上記で引用したニュースの表参照)という基本的な構造は変えず、主に「戦略」と「指標と目標」が更新された。更新内容は全セクターに適用される項目と、金融セクター(銀行、保険会社、アセット・オーナー、アセット・マネジャー)に適用される項目に分かれる。・・・
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