昨年(2021年)12月末、改訂コーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)に対応したコーポレート・ガバナンス報告書(以下、CG報告書)が提出期限を迎えた(プライム市場上場会社向けの原則については、2022年4月4日以降最初に開催される定時株主総会終了後に遅滞なく提出するCG報告書で対応)。今後は改訂CGコード対応と矛盾しないよう株主総会招集通知(以下、招集通知)の記載内容を改善するなど、来たる株主総会シーズンに向けた準備に着手することになる。招集通知における記載事項(任意のものを含む)のうち、CGコード改訂の影響を最も大きく受けたものの一つに挙げられるのが、補充原則 4-11①により開示が求められることとなった取締役会のスキル・マトリックスだ。
取締役会は、経営戦略に照らして自らが備えるべきスキル等を特定した上で、取締役会の全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方を定め、各取締役の知識・経験・能力等を一覧化したいわゆるスキル・マトリックスをはじめ、経営環境や事業特性等に応じた適切な形で取締役の有するスキル等の組み合わせを取締役の選任に関する方針・手続と併せて開示すべきである。その際、独立社外取締役には、他社での経営経験を有する者を含めるべきである。 |
補充原則4-11①は「いわゆるスキル・マトリックスをはじめ」と、スキル・マトリックスを例示として挙げる形の表現にはなっているが、CGコードの改訂に際し寄せられた『「スキル・マトリックス」が例示の一つであることを確認したい。』などのパブリックコメントに対し東証は以下のように回答しており(43ページ参照)、「より分かりやすい開示」でない限り、基本的にスキル・マトリックスによる開示が期待されている。
補充原則 4-11①における、いわゆるスキル・マトリックスは、「経営環境や事業特性等に応じた適切な形で取締役の有するスキル等の組み合わせ」を開示するための方法の 1 つとして掲げています。スキル・マトリックス以外の方法によっても、本コードの趣旨に照らしてより分かりやすい開示が考えられる場合には、スキル・マトリックス以外の方法による開示を行うことも想定されています。 |
当フォーラムがTOPIX100採用企業(昨年12月末現在)の昨年の招集通知を対象にスキル・マトリックスの掲載社数を調査したところ、・・・
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