岸田総理が就任時の所信表明演説(2021年10月8日)で四半期開示の見直しを表明したことを受け、金融庁に設置された金融審議会のディスクロージャーワーキング・グループ(以下、DWG)では、四半期開示の見直しについて議論が行われている。
企業が、長期的な視点に立って、株主だけではなく、従業員も、取引先も恩恵を受けられる「三方良し」の経営を行うことが重要です。非財務情報開示の充実、四半期開示の見直しなど、そのための環境整備を進めます。 |
四半期開示見直し論の背景には、主に以下のような意見がある。
① 中長期的な企業価値を重視するのであれば四半期情報の重要性は低くなる。そこで、四半期開示は維持した上で四半期報告書と四半期決算短信を統一することや、四半期開示の任意化を検討すべきではないか。 ② 決算短信を簡素化する一方で、企業の実情に応じて決算説明資料の充実化が図られ、それに基づいて対話が促進されることは望ましいが、四半期報告書の必要性については検討の余地があるのではないか。 ③ 四半期開示制度は投資家や企業の短期的利益志向を助長し、また、作成に多大な労力がかかるため働き方改革の流れに反する。 |
上記のうち最もよく耳にするのは、③の「四半期開示制度は企業の短期的利益志向を助長するためやめるべき」との意見だろう。これに対し、DWGの各委員からは・・・
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