周知のとおり、コーポレートガバナンス・コード補充原則3-1③は上場会社に対し、「経営戦略の開示に当たって、自社のサステナビリティについての取組みを適切に開示」することを、さらにプライム市場上場会社に対しては、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、「TCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実」を求めている。
TCFD : 主要国の金融当局(中央銀行、金融監督当局、財務省)やIMF(国際通貨基金)、世界銀行、BIS(国際決済銀行)、OECD(経済協力開発機構)などで構成される国際的な金融システムの安定を目的とする組織である金融安定理事会(FSB)が設置した組織。TCFDとは「Task Force on Climate-related Financial Disclosures」の略である。TCFDが2017年6月に公表した最終提言は、気候変動リスクに関する情報開示のフレームワーク(枠組み)のグローバルスタンダードになりつつある。
現在、金融庁の金融審議会 ディスクロージャーワーキング・グループでは気候変動をはじめとするサステナビリティ情報の開示の義務化について議論が行われているが、具体的な開示内容までは決まっていない。ただし、2022年1月13日のニュース「現行の開示制度の下で求められる気候変動開示」でもお伝えした通り、現行制度のルールの下でも、例えば気候変動が企業経営に重要な影響を与えるリスクがあるのであれば、それを【事業等のリスク】等で開示することが必要になる。つまり、現状は気候変動をはじめとするサステナビリティ情報について有価証券報告書で何を開示すべきかといった細かなルールが決まっていないだけに過ぎず、投資情報として重要なものは有価証券報告書で開示しなければならないということだ。
2022年3月には2021年12月決算会社(551社)が有価証券報告書を提出しているが、下表のとおり、・・・
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