世界最大の資産運用会社であるブラックロックが、米国政界におけるESG積極派と否定派の狭間で揺れている。
ESGに寛容なバイデン政権の下、証券取引委員会(SEC)は今年5月、投資家向けにESG投資の情報開示に関する規制案を公表した。この規制案は、ファンドの目論見書や年次報告書などにおいて、具体的なESG戦略の情報開示を求めるもの。SECが定める基準を満たさないファンドは、最近問題になっているグリーンウォッシング同様、“ESGウォッシシング”(見せかけ)と認定され、投資商品の名称にESGという文言が入れられなくなるという厳しいものである。
ESG投資 : 「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」に優れた企業に投資すること。
グリーンウォッシング : 環境に配慮していることやエコを想起される「グリーン」と、上辺だけを飾ることを意味する「ホワイトウォッシュ」を掛け合わせた造語であり、一見すると自社の商品やサービスなどが(実際にはそうではないにもかかわらず)環境に配慮しているかのように見せかけ、環境意識の高い消費者や投資家への訴求効果を高めようとする行為を指す。
当然ながら、こうした規制的な動きに対しては、規制対象となる資産運用会社から反発の声が上がっている。特に驚きをもって受け止められているのが、世界最大の運用資産残高を誇るブラックロック社・・・
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