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適時開示を巡る投資家と企業の期待ギャップ

(2022年)10月5日に再開した金融庁の金融審議会・ディスクロージャーワーキング・グループ(以下、DWG)では、四半期報告書の廃止などとともに、四半期決算短信のあり方も検討のテーマとなっているが、既報のとおり、四半期決算短信の開示内容は“現状維持”としつつ(すなわち、開示内容は増やさず)、「適時開示」の充実を図るというのが金融庁の基本的なスタンスとなっている(2022年10月5日のニュース「四半期決算短信の任意提出、レビュー対象化の行方」参照)。

再開後の第1回金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループでも早速、適時開示の充実について議論されている。周知のとおり、適時開示制度は、東証の規則により重要な会社情報を上場会社から投資家に対して、報道機関等あるいはTDnet(適時開示情報伝達システム)により「直接的に」「広く」「タイムリー」に伝達するもの。株式をはじめとする金融商品市場においては突発的に発生する各種の情報によって売買高が大きな影響を受けかねないことから、投資家にとって適時開示の重要性は高い。

新型コロナウイルス感染症は最近落ち着きを見せ始めたとはいえ、ロシアによるウクライナ侵攻、急激な円安や物価上昇など経営環境が著しく変化する中、適時開示の重要性が高まっているのは間違いない。しかしながら、積極的な適時開示により、幅広い資金を取り込むことができる環境を確立することができれば、必ずしも一律に四半期開示を求めなくても、投資家に充実した情報が提供されることになるとの声もある一方で、・・・

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