既報のとおり金融庁は(2022年)11月7日、「サステナビリティに関する企業の取組みの開示」「コーポレートガバナンスに関する開示」などに関する開示府令の改正案を公表したが(2022年11月7日のニュース「気候変動情報、一律の開示は見送り」参照)、その中で、多くの上場企業から疑問の声が挙がっているのが、「コーポレートガバナンスに関する開示」における取締役会などの活動に関する記載事項だ。
コーポレートガバナンスに関する開示(第二号様式 記載上の注意「(54)コーポレート・ガバナンスの概要」)には下記の規定がある。
i 最近事業年度における提出会社の取締役会、指名委員会等設置会社における指名委員会及び報酬委員会並びに企業統治に関し提出会社が任意に設置する委員会(指名委員会等設置会社における指名委員会又は報酬委員会に相当する任意の委員会を含む。)の活動状況(開催頻度、具体的な検討内容、個々の取締役又は委員の出席状況等)を記載すること。 |
注目されるのが、「具体的な検討内容」という記述だ。今回の改正開示府令案のベースとなった金融庁・金融審議会のディスクロージャーワーキング・グループが2022年6月に公表した報告書では、ここは「主な検討事項」とされていた(18ページ最終行、19ページ中段参照)。同様に、現行開示府令上、「監査役及び監査役会(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)」の活動状況についても「主な検討事項」の記載が求められているが、改正開示府令案ではこれが「具体的な検討内容」という文言に変更されている((56)監査の状況参照)。
大手人事コンサルティング会社 ウイリス・タワーズワトソン(以下、WTW)の調査によると、TOPIX100構成企業の71%は報酬委員会の審議・検討内容を開示しているものの、そのうち44%は相応の内容を開示している一方で、27%は具体性に乏しい開示となっていた(WTWのリリースの2ページ③参照)。すなわち、いまだ開示していない29%の企業を加えれば、TOPIX100構成企業でさえ半数以上が報酬委員会の活動状況の「具体的な検討内容」を開示しているとは言えない状況となっている。
この改正の背景には、・・・
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