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11個のTCFD開示推奨項目、任意開示における優先順位

既報のとおり、TCFDは「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」による4つの柱に基づく開示を推奨している(2021年7月7日のニュース「TCFD開示の4要素のうち有報での開示が必須となりそうな2要素とは?」を参照)。そしてTCFDが推奨する開示では、下表のとおり4つの柱ごとに複数の項目が設定されており、計11の推奨項目から構成されている。

TCFD : 主要国の金融当局(中央銀行、金融監督当局、財務省)やIMF(国際通貨基金)、世界銀行、BIS(国際決済銀行)、OECD(経済協力開発機構)などで構成される国際的な金融システムの安定を目的とする組織である金融安定理事会(FSB)が設置した組織。TCFDとは「Task Force on Climate-related Financial Disclosures」の略である。TCFDが2017年6月に公表した最終提言は、気候変動リスクに関する情報開示のフレームワーク(枠組み)のグローバルスタンダードになりつつある。

4つの柱 TCFD開示推奨項目
ガバナンス ① 取締役会による監視体制
② 経営者の役割
戦略 ③ リスクと機会
④ ビジネス・戦略・財務計画への影響
⑤ シナリオに基づく戦略のレジリエンスの説明
リスク管理 ⑥ リスクを評価・識別するプロセス
⑦ リスクを管理するプロセス
⑧ ⑥⑦が総合的リスク管理に統合されているか
指標と目標 ⑨ リスクと機会の評価に用いる指標
⑩ スコープ1スコープ2、当てはまる場合はスコープ3の排出量
⑪ リスクと機会の管理に用いる目標と実績

レジリエンス : 気候変動の悪影響に対する脆弱性を減らしつつ、事業の“復元力” や“しなやかな強靭さ”を持つことを意味する。
スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出のこと。
スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出のこと。
スコープ3:スコープ1、スコープ2以外の間接排出、具体的には「事業者の活動に関連する他社の排出」のこと。

法定開示においては2023年3月期に係る有価証券報告書からサステナビリティ情報(気候変動に限定されない)の開示が義務化される見通しとなっているが(有価証券報告書におけるサステナビリティ情報の開示義務化については2022年11月7日のニュース「気候変動情報、一律の開示は見送り」を参照)、その対応策は【2022年12月の課題】「サステナビリティに関する企業の取組みの開示」の内容 に詳説しているので、本稿では統合報告書やアニュアル/ESG/CSR/環境/サステナビリティ/TCFDレポートなどの各種レポートといった任意開示の観点から、上記11項目の優先順位について検討してみよう。・・・

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