今月(2023年6月)14日に控えるトヨタ自動車(以下、トヨタ)の株主総会において、豊田章男会長再任の議案(2023年6月1日のニュース「トヨタとキヤノンの事例を踏まえた議決権行使助言会社への対応」参照)とともに注目されるのが、同社の気候変動対策に関する株主提案への賛否の行方だ。本提案は、オランダの公的年金の運用会社APGほか3つの機関投資家から出されたもので、トヨタに対し、①気候変動に関する情報発信、②ロビー活動が自社に与える気候変動のリスクを減らすことにどのように貢献しているのか、③ロビー活動がパリ協定の目標及び2050年カーボンニュートラル実現という自社の目標と整合しているかを毎年評価し報告書にまとめることを定款に追記するよう求めている。
パリ協定 : 2015年末にパリで開催されたCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)で採択された2020年以降の温暖化対策の国際的枠組み。パリ協定では、18世紀後半に起きた産業革命前と比較し、気温の上昇を「2℃以内」にとどめることを目標としており、各国に対し、温室効果ガスの排出削減目標を設定のうえ、5年ごとに進捗報告およびより厳しい目標への更新を行うことを義務付けている。
本提案に対しトヨタは「反対」を表明。その理由として、①既に気候変動対策を重要な経営課題の一つと位置付けていること、②2050年のカーボンニュートラル達成を目指し、国内外で様々な活動を進めていること、また、③定款には記載せずとも、株主提案が求める内容を2021年から実施し、毎年更新することを約束している、と主張している(トヨタのリリースはこちら)。
気候変動対策に関する株主提案は2020年のみずほ銀行を皮切りに年々増加傾向にあり、今年はトヨタのほか、電源開発(電源開発のリリースはこちら)、三菱商事(三菱商事のリリースはこちら)、メガバンク3社を含む10社以上の企業に対して出されている。いずれも気候変動対策の開示等を定款でルール化することを求める提案だが、機関投資家が定款変更を求めることには理由がある。それは、・・・
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