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日経225構成企業のうち2社が気候変動に関する情報を開示せず

開示府令の改正により、2023年3月期の有価証券報告書から「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載欄が新設されたところ。2023年5月17日のニュース『開示初年度の「気候変動情報」はどこまで書けばよい?』でお伝えしたとおり、改正開示府令上、「気候変動」に関する記述はどこにもないものの、気候変動対応が自社にとって“重要”であれば、気候変動に関する「戦略」と「指標及び目標」を開示する必要がある。

戦略 : 短期、中期及び長期にわたり連結会社の経営方針・経営戦略等に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスク及び機会に対処するための取組み。
指標及び目標 : サステナビリティ関連のリスク及び機会に関する連結会社の実績を長期的に評価、管理、監視するために用いられる情報。

<参考>改正開示府令案のパブリックコメントに対する金融庁の回答No113
金融庁の考え方
「ガバナンス」と「リスク管理」は、企業において、自社の業態や経営環境、企業価値への影響等を踏まえ、サステナビリティ情報を認識し、その重要性を判断する枠組みが必要となる観点から、全ての企業が開示することが求められます。そして、各企業が「ガバナンス」と「リスク管理」の枠組みを通じて重要と判断したサステナビリティ項目については、「戦略」及び「指標及び目標」の開示も求められます。気候変動関連の情報についても、サステナビリティ情報の一つとして、上記のような枠組みで、その開示の要否が判断されることになります。

ガバナンス : サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視及び管理するためのガバナンスの過程、統制及び手続。
リスク管理 : サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別、評価、管理するための過程。

ここで注意したいのは、上記金融庁の考えによれば、「気候変動」以外のサステナビリティのテーマ、例えば「人権」「水」「生物多様性」などについても、重要であると判断した場合、「サステナビリティに関する考え方及び取組」欄において「戦略」及び「指標及び目標」の開示が必要となるということだ。重要であるか否かについて、金融庁の回答No88では「開示原則2-2において、『記述情報の開示の重要性は、投資家の投資判断にとって重要か否かにより判断すべきと考えられる。』としており、その重要性は『その事柄が企業価値や業績等に与える影響度を考慮して判断することが望ましい。』としていることを参考にすることが考えられます」としている。

そこで当フォーラムが、日経225を構成する2023年3月決算企業の有価証券報告書における「サステナビリティに関する考え方及び取組」の開示状況を調査したところ、気候変動に関する情報を開示していた企業は、・・・

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