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コベナンツの開示ルール整備に伴い、取締役会規程における 「多額の借財」の数的基準の見直しも検討の余地

企業が借入や社債による資金調達をする際、金融機関や社債投資家などの債権者から契約上のコベナンツ(財務制限条項)を課されることが少なくない。コベナンツの具体的な内容は、債権者が債務者である企業に対して「単体決算において期末の純資産が直前決算期の75%を下回らない」といったB/S(貸借対照表)に関する純資産の維持(一定水準を下回らないこと)や「単体決算において経常損失とならない」といったP/L(損益計算書)に関する損益の維持(一定水準の利益確保)を求めるものであることが多い(ケーススタディ『借入れにより資金調達したい』を参照)。コベナンツを遵守できない場合には、債務者(企業)は金銭消費貸借契約における期限の利益(返済期日が到来するまでは元本を返還しなくてもよいという債務者にとっての利益)を喪失する(すなわち債権者は「すぐに元本を返せ」と主張することが可能になる)ことが定められているのが一般的だ。


コベナンツ : 借入期間内における作為(実行することを要求される行為)・不作為(やってはならない行為)について借手が誓約する、借入契約(金銭消費貸借契約)における特約条項。借入れの際に締結するコベナンツの多くは「一定の自己資本比率の維持」「一定の純資産額の維持」等の財務的な遵守事項であることが多いので、財務制限条項とも呼ばれる。

借入や社債発行にあたり債権者からコベナンツを付された上場企業では、売上高が落ち込んだ場合や固定資産の減損などで多額の特別損失を計上した場合に、純資産や損益の維持を求めるコベナンツに抵触してしまうケースが後を絶たない。もっとも、実際には・・・


減損 : 固定資産による将来の現金回収見込額が簿価を下回った場合に、下回った分だけ損失を計上すること。

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