既報のとおり、東証に設置された「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」の第11回会合(2023年8月29日開催)では、「既存の開⽰を参照するのみで、資本コストを踏まえた現状分析・評価に関して言及がない」事例が問題視されたところ(2023年9月8日のニュース「東証の新たな要請と好対応事例」の「(2)適切な開示媒体の参照」参照)。
「既存の開示を参照するのみ」の事例で多く見られたのが、“昨年度”に公表した中期経営計画の説明資料や統合報告書などの引用だ。作成されたのが昨年度となると、東証が2023年3月末に要請した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」のエッセンスを含んでいない可能性が高い。逆に、今年3月から一定期間経過後に開示された資料であれば、「資本コストや株価を意識した」記述が期待される。
そこで当フォーラムでは、TOPIX100採用企業のうち3月期決算の82社の有価証券報告書を調査し、【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】における「資本コストや株価を意識した」記述の状況を確認した(なお、当フォーラムの調査によると、82社のうち「コーポレートガバナンス報告書における【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応】の記載事例は20社にとどまっている(2023年7月18日ニュース「CG報告書の改訂記載要領への対応状況と好事例」参照))。・・・
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