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“寝耳に水” 金融担当大臣による有報の総会前開示要請に従わなかったらどうなる?

2025年3月27日のニュース「有報の総会前開示、当面は「3週間以上前」にこだわらず」でお伝えしたとおり、金融庁の「有価証券報告書の定時株主総会前の開示に向けた環境整備に関する連絡協議会」(以下、連絡協議会)の第2回目の会合(2025年3月18日開催)では、「総会前開示を実現するための当面の方策(案)」が示されたところ。これを踏まえ、今夏に向かって有価証券報告書の総会前開示が本格的に検討される段取りとなっていたが、こうした中、突如として加藤勝信金融担当大臣が3月28日朝の記者会見で総会前開示を「要請」することを表明。直ちに全上場会社宛に通知が発出された。寝耳に水となった上場会社各社の担当者は慌てて対応に追われている。そこで当フォーラムでは、この要請の背景、意図、課題などを取材した。

まず要請文の内容を見てみよう(短い文章であるため、全文を引用しながら解説する)。

冒頭の「有価証券報告書には、役員報酬や政策保有株式等のガバナンス情報等、投資家がその意思を決定するに当たって有用な情報が豊富に含まれており、上場会社においては、投資家が株主総会の前に有価証券報告書を確認できるようできる限り配慮することが望ましいと考えられます。」という文章は、岸田前首相らに総会前開示を求めてきたICGN(International Corporate Governance Network=国際コーポレートガバナンスネットワーク)などの声を踏まえ、金融担当大臣として望ましいと考える方向性を打ち出したものと言える。


ICGN : グローバル機関投資家や年金基金などが参加する団体であり、ICGNの意見はグローバル投資家の意見を最も色濃く反映していると考えられている。

その一方で「この点、有価証券報告書の提出は、本来、株主総会の3週間以上前に行うことが最も望ましいと考えられますが、多くの上場会社がただちにこうした対応を行うことには実務上の課題も存在すると承知しており、現在、金融庁では、官民の関係者と連携し、企業負担の合理的な軽減策を含め、課題の洗い出しや対応策の検討等を行っているところです。」とし、現在、連絡協議会で対策を検討中であることに理解を示しつつも、「他方、足元の有価証券報告書の提出状況を見ると、株主総会同日又は数日以内の提出が9割以上を占めていることから、現状でも、株主総会の前日ないし数日前に提出することには日程上の大きな支障はないのではないかと考えられます。」と、現状の上場会社の姿勢に対し不満を述べている。

そのうえで、「これまで株主総会前の開示に取り組んでいない上場会社におかれましては、有価証券報告書を株主総会前の望ましい時期に開示する取組を進めるための第一歩として、今年から、まずは有価証券報告書を株主総会の前日ないし数日前に提出することをご検討いただくようお願いいたします。」とした。要するに、3月末の現段階でも、6月の株主総会の前日ないし数日前の提出であれば間に合うだろうから検討せよ、ということだ。そして最後は「なお、金融庁としては、2025年3月期以降の有価証券報告書の提出状況について実態把握を行い、有価証券報告書レビューの重点テーマ審査において株主総会前の提出を行わなかった場合の今後の予定等について調査を行うなどの対応を検討してまいります。」という一文により、本要請を受けて対応がなされたどうか調査すると“にらみ”をきかせて締め括った。


有価証券報告書レビュー : 金融庁が上場企業等の有価証券報告書の記載内容の適正性の確保の観点から、各財務(支)局等と連携して行っている行政手続き。

本要請は・・・

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