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「サステナビリティ報告の内部統制」の整備と課題

周知のとおり2023年3月期の有価証券報告書から「サステナビリティ情報」の開示が義務化されサステナビリティ情報のプレゼンスが高まる一方、誤謬やウォッシュなど、情報の信頼性への懸念も増している。有価証券報告書での開示対象となったことに伴い、虚偽表示が行われれば罰則の対象にもなり得る。こうした中、企業にとっては、サステナビリティ情報の信頼性を確保するための内部統制をいかに整備・運用していくかが重要な課題となっている。


ウォッシュ : サステナビリティに環境に配慮しているように見せかけておきながら実態は異なり、結果として、サステナビリティを重視する投資家等に誤解を与えること。

2025年3月にサステナビリティ基準委員会(SSBJ)より公表された日本初のサステナビリティ開示基準(以下、SSBJ基準。2025年2月25日のニュース「サステナビリティ開示基準が決定、公開草案からの変更点は?」参照)では、「経営者が、サステナビリティ関連のリスク及び機会の監督を支援するために、所定の統制及び手続を用いているか否か、用いている場合、当該統制及び手続がその他の内部機能とどのように統合されているか」を開示することが求められている(SSBJ一般基準第10項(2))。


SSBJ : 日本における非財務開示の基準を作成する団体。IFRS(国際財務報告基準)の母体であるIFRS財団が「国際サステナビリティ基準審議会(ISSB=International Sustainability Standards Board)」を設立し、非財務開示の国際的な基準「サステナビリティ報告基準」を策定することを受け、日本では財務会計基準機構(FASF)が母体となり、IFRS財団におけるISSBに相当するSSBJ(Sustainability Standards Board of Japan)が2022年7月1日に設立された。

また、2023年4月には金融庁が「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)」を公表、内部統制の目的の一つとして掲げていた「財務報告の信頼性」という用語を「報告の信頼性」へと変更している。その背景には、非財務情報も金融商品取引法上の内部統制の対象に含まれるべきという金融庁の考え方がある。今後、内部統制報告制度において非財務情報をどのように扱うのか、議論が進むことが予想される。

では、上場企業はサステナビリティ報告に関する内部統制をどのように整備・運用していくべきだろうか。まず言えるのは、・・・

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