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「不完全な形での提出」か「延長申請」か 有報提出期限を前に迫られる経営判断

会社が監督官庁に提出すべき書類には提出期限が設けられているのが通常だが、提出期限までに提出できなかった場合のペナルティは書類によって様々となっている。ペナルティが厳しすぎることにより、担当役職員が提出期限の遵守に神経をすり減らす書類の代表格といえば有価証券報告書(以下、有報)であろう。周知のとおり、有報は事業年度終了後3か月以内に本店の所在地を所轄する財務局(または財務支局)にEDINET(電子開示システム)を通じて提出しなければならない。粉飾決算が発覚するなどした場合には、有報の提出期限の延長承認を申請し、承認を受ければ提出期限が延長されるが、提出が免除されるわけではないため、延長後の提出期限の遵守は必須となる。

有報の提出期限を守れなかった会社の役員(個人。主として社長やCFOが想定されているが、それらに限られるものではない)は5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金(または両方の併科)を科せられる金融商品取引法197条の2第5号)可能性がある。また、会社(法人)も5億円以下の罰金を科せられる可能性がある(両罰規定:金融商品取引法207条1項2号)。さらに、行政処分として課徴金(金額は直近の事業年度にかかる監査報酬相当額)の納付を命じられる。

以上に加えて、上場会社であれば、有価証券報告書を法定提出期限から1か月以内に提出できなかった場合には証券取引所の上場廃止基準に抵触することとなり、上場廃止となる(天災、重大なシステム障害、またはその他やむを得ない事情が生じたことにより内閣総理大臣の承認を受けて提出期限が延長されている場合は、その延長された期限から8営業日以内に提出できないと上場廃止となる)。この上場廃止処分が上場会社にとって最も致命的なペナルティと言える。

このペナルティの発動をギリギリで回避したのが・・・

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