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CG報告書冒頭にガバナンスコード不実施理由の記載欄が新設

 コーポレートガバナンス・コードの原則を実施しない場合の理由の記載欄が「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」(以下、CG報告書)の冒頭に新設されることが、東京証券取引所が3月11日に実施した各上場会社に対する通知(CG報告書の記載要領案)で明らかになった。

 6月1日より東証上場会社にコーポレートガバナンス・コードが適用される。これにより東証上場会社は、コードの各原則のうち実施しないものがあればその理由を開示するとともに、ガバナンスの状況を投資家に理解してもらうために「取締役・監査役に対するトレーニングの方針」などを開示する必要がある(また、2015年6月1日以後に最初に到来する定時株主総会の日から6か月の猶予期間あり。市場区分に応じて開示範囲が異なる点は後述)。開示の媒体として利用されるのがCG報告書であることは、「ガバナンスコード対応は12月まで猶予あり!?」で報じたとおり。今回通知されたのは、具体的なCG報告書の様式や記載要領の改正案である。

「コードの各原則を実施しない理由」欄
 コーポレートガバナンス・コードの各原則のうち実施しないものがある場合には、CG報告書の「1 コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方及び資本構成、企業属性その他の基本情報」の「基本的な考え方」の欄の冒頭に新設される「コードの各原則を実施しない理由」欄に、各社の上場区分に応じた説明(下表の○印)をしなければならない。

上場区分 基本原則 原  則 補充原則
市場第1部
市場第2部
マザーズ 説明不要
JASDAQ 説明不要

 この表からもわかるとおり、マザーズやJASDAQに上場している会社は、仮に「基本原則」以外の各原則を実施していなくても、その理由を説明することは求められていない。もっとも、「実施しない理由」を任意に記載することは可能とされている。あえて「実施しない理由」を記載する実益などなさそうに見えるが、ガバナンス強化に取り組んでいる新興企業が「現在は実施していないが、●年には実施する予定です」といったアピールをする機会として活用することが考えられる。

 開示に際しては、コードの各原則のうち実施しない原則を、項番等により具体的に特定したうえで記載することが必要になる。どの原則を実施しないのかを特定できないような不明瞭な記載はNGとなる。

 また、他の開示書類等において、コードの各原則を実施しない理由を記載している場合であっても、この欄には必ず「実施しない理由」を記載しなければならない。後述する“参照方式”は、「コードの各原則を実施しない理由」欄での利用はできないことになる。

 記載にあたって改めて注意したいのは、・・・

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