上場企業に対するROE(自己資本利益率)向上のプレッシャーが強まっているが、企業がそれに応えようとしていることが数字的に裏付けられた。
2014年10-12月期の東証一部企業による自己株式取得金額が前年同期比80%増となる1兆1,660億円を記録している。2014年2月に公表された日本版スチュワードシップ・コードにより投資家が上場企業に対し「資本効率」の改善を求める中、(ROEの分母である)自己資本を縮小させることで短期的にROEを高める動きが進行していることがうかがえる。
もちろん、その背景には好調な企業業績もある。2014年10-12月期の法人企業統計では、全産業(金融機関を除く)の経常利益が前年比11.6%増の18兆651億円となり、1954年以降で過去最高となった。原油安が内需型企業の収益率を高めたことにより全産業の利益が押し上げられ、その結果、潤沢な現金の一部が自己株式取得にまわった格好だ。
ただ、自己株式の取得はあくまで財務戦略の1つに過ぎない。企業の持続的成長には競争力強化および生産性の向上が不可欠であるが、経済協力開発機構(OECD)の統計によると、2013年の日本の生産性レベルはOECDに加盟する34カ国中18位と低迷している。
こうした中、日本企業の国際競争力向上に向けた動きも活発化し始めている。これは、・・・
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