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エンゲージメントの時代に問われる“経営者の度量”

 上場企業である以上、株主から何らかの提案を受けることは珍しくない。そのような場面に直面した経営陣にとってまず気になるのは、当該株主の「持株比率」だろう。

 持株比率が高い投資家からの提案であれば、内容を問わず、とりあえず聞かざるを得ない。しかし、このように高い持株比率を背景にした提案の中には、そもそも提案の内容に無理があるものが少なくないのも事実。よくあるのは、自社株買いや配当(株主還元)を要求するものだ。もちろん、適切な株主還元であれば実施されてしかるべきだが、本来であれば中長期的にもっと高いリターンが期待できる投資をできたにもかかわらず、無理に株主還元することによってその機会を逸し、中長期にわたって企業価値を毀損してしまうこともある。当然ながら、経営陣としてはそういう提案は拒否したいことだろう。逆に言うと、提案の内容に無理があるからこそ、“数の力”を背景に、「最後は議決権の数で勝負しましょう」というのが、こうした投資家のスタンスと言える。

 一方、たとえ0.1%の持株比率しかない投資家からの提案であっても、それが本当に中長期の企業価値の改善につながるものであれば、経営陣は門前払いにすることなく、聞く耳を持つべきだ。

 こうした提案に耳を傾けられるかどうかは、結局は「経営者の度量」によるところが大きい。ある著名機関投資家は、「他人の意見を聞ける経営者でなければ、エンゲージメントはしない」と言い切る。その機関投資家は、エンゲージメントする前には必ず・・・

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