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変化するエンゲージメントのターゲット

 日本でも、機関投資家から対話を通じた要求、すなわちエンゲージメントを受けた企業が出始めているが、今のところ、日本の上場企業の大部分はその経験がないはずだ。これは、日本にもエンゲージメントを行うファンドは既に存在しているものの、その多くが“エンゲージメント専用”のファンドであり、規模も大きくないため、そもそも投資企業数が少ないことによる。

 一方、エンゲージメント先進国である欧州では、エンゲージメント専用のファンドのみならず、通常のファンド(メインストリーム(主流)・ファンド)もエンゲージメントを実施している。場合によっては、インデックス(パッシブ)運用であっても、エンゲージメントを行う。インデックス・ファンドを含めたメインストリーム・ファンドがエンゲージメントを実施すれば、必然的にエンゲージメントの対象となる企業は極めて多くなる。スチュワードシップ・コードが導入されてから1年以上が経過する中、今後は日本の機関投資家も欧州の機関投資家のスタイルを採り入れていくだろう。これに伴い、エンゲージメントの対象となる日本企業の数は急増することが予想される。

インデックス(パッシブ)運用 : 東証で言えばTOPIXのような株価指数(インデックス)の値動きに連動する運用成果を目指す運用手法のこと。株価指数を構成する銘柄をポートフォリオに組み入れるなどして、運用会社はあまり裁量を加えず運用する。積極的な運用方法でないという意味で「パッシブ(消極的な)という言葉が使われている。ファンドマネジャーが独自に銘柄を選択して運用する「アクティブ運用」とは対極の関係にある。

 現在、日本に存在するエンゲージメント専用のファンドは、基本的には保有企業のすべてにエンゲージメントを行うため、仮に・・・

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