印刷する 印刷する

業績連動型役員報酬導入のボトルネックが解消へ

 中長期的な企業価値の向上が求められる中、役員報酬も中長期的な業績に連動させることが必然となっている。この点はコーポレートガバナンス・コードにも明記されたことから、役員報酬の算定方法の見直しを検討している企業も少なくないことだろう。

原則4-2
・・・また、経営陣の報酬については、中長期的な会社の業績や潜在的リスクを反映させ、健全な企業家精神の発揮に資するようなインセンティブ付けを行うべきである。
補充原則4-2①
経営陣の報酬は、持続的な成長に向けた健全なインセンティブの一つとして機能するよう、中長期的な業績と連動する報酬の割合や、現金報酬と自社株報酬との割合を適切に設定すべきである。

 ただ、中長期的な業績に連動した報酬を導入するにあたりネックとなるのが、役員報酬に対する現在の税制だ。法人税法では、業績連動型の役員報酬を「利益連動給与」と呼び、これを損金算入できる仕組みを設けているものの、実際に損金算入が認められるには非常に厳しい要件をクリアする必要がある。このため、業績連動型役員報酬を導入している企業の中でこれを損金算入できているところは少ないのが現状だ。

 例えば、現行法人税法上、損金算入できるのは「有価証券報告書に記載された利益を基礎に算定」された役員報酬だけであり、さらに「有価証券報告書に記載される“その事業年度”の利益に関する指標の数値が確定した後“1か月以内”に支払われる(又は支払われる見込み)」ことも求められる。つまり、2年前、3年前の利益をベースに算定された報酬(=中長期的な業績と連動した報酬)は損金不算入となってしまう。

 また、近年は持株会社に移行する企業が相次いでいるが、法人税法上は「同族会社」に区分される持株会社の100%子会社が支払う業績連動型の報酬は損金算入できない。これは、現行法人税法では「同族会社」が支払う利益連動額役員報酬を損金算入の対象外としているためだ。

 さらに、非業務執行役員に支払う業績連動型の報酬は損金算入できないほか、損金算入のためには、報酬額を「業務執行役員やその関連者が委員となっていない報酬委員会」が決定することも求められている。

 このように、企業が中長期の業績と連動する役員報酬制度を導入するにあたっては、税制が大きなネックとなりかねない懸念があるが、こうした中、政府が・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合はログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから