社外取締役を選任済みの企業は、東証一部上場企業で92%、二部上場企業81.4%に上る。これを独立取締役に限定すると、1名以上選任している企業は東証一部で84.7%、東証二部で62.0%に減少し、さらに2名以上選任している企業となると東証一部で46.5%、東証二部に至ってはわずか17.5%にとどまる(2015年6月16日時点。東証まとめ)。
この数字に裏付けられるように、企業からは「独立社外取締役のなり手が足りない」という声が聞こえて来る。ただ、実際のところ、独立社外取締役が見つからないのには企業側の意識にも問題があるケースが少なくない。
まず根本的な話として、執行上の細かいマターまで議論する取締役会に毎月参加しようという社外取締役候補がそもそも多くないということを理解する必要がある。当フォーラムで既に報じていたとおり、先週金曜日(2015年7月24日)に経済産業省のコーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会が公表した報告書では、取締役会による経営の監督が実効性の高いものとなるよう、会社法上取締役会に上程することが強制されている「重要な業務執行の決定」の範囲を条件付きで事実上狭めることが提案されているが(2015年6月26日のニュース 「政府の成長戦略で、取締役会への上程事項の範囲限定へ」、2015年7月1日のニュース「重要な財産=総資産の1%」という常識が変わる」参照)、元々社内取締役ほどの業務知識が期待されていない社外取締役が自由闊達に議論できるようにするためにも、権限移譲による取締役会の合理化を進めるべきだろう。
また、上場企業に話を聞いてみると、・・・
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