これまでベールに包まれていた国内機関投資家によるサステナブル投資 の実態の一部が明らかになった。サステナブル投資とは、経済、環境、社会の持続性に配慮した投資手法であり(sustainableとは「持続可能」を意味する)、具体的には、投資において、経済的なパフォーマンスに加え、ESGに配慮して投資先を選定することがサステナブル投資と言えるだろう。
サステナブル投資 : 環境、社会、ガバナンスの持続性に配慮した投資手法。英語ではSustainable Investment、またはSustainable & Responsible Investmentと言われる。Sustainableとは「持続可能」を意味する。
2014年2月から導入されたスチュワードシップ・コードの受入れを表明した企業は2015年11月末現在で201に達し、受入れを表明した機関投資家の中には、スチュワードシップ責任を果たすための投資方針(原則1)において「ESGの各要素について投資先企業と対話を行う」ことや、投資先企業の状況の的確な把握(原則3)において「独自のESG評価を運用プロセスに組み込むこと」などを表明するところが相次いでいる。もっとも、アセットマネージャー(「〇〇アセットマネジメント」「××投信」など)がESG投資を企業に求めるかどうかは、アセットマネージャーにとっての顧客であるアセットオーナー(年金基金など資産(アセット)を保有する者)がESG投資を志向するかどうかによる。こうした中、昨年(2015年)9月16日には、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がESG投資を提唱した国連のPRI(Principles for Responsible Investment=責任投資原則)に署名したことで、GPIFの資産を運用するアセットマネージャーは、ESG投資に目を向けざるを得なくなっている(GPIFは、運用の委託先に対し、ESGを考慮することや、PRIに署名していない場合にはその理由の説明などを求めている)。
GPIF : 厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行う厚生労働省所管の独立行政法人。運用資産の規模が100兆円を優に超える世界最大の機関投資家である。
PRI : 機関投資家に対し、投資判断プロセスにESGを反映することや、投資対象企業にESGに関する情報開示を求めることなどを提唱するもの。これに署名した機関投資家は、国連に投資の状況を報告する義務が生じるため、ESGを重視した投資を実践せざるを得ない。
このような状況を受け、国内機関投資家によるサステナブル投資額も急速に拡大していると言われているが、その実態は明確ではなかった。しかし、このほど・・・
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