(2016年)4月1日より、企業に対して管理職や役員に占める女性の割合などの公表を求める女性活躍推進法(正式名称は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」)が施行される。この法律に象徴されるように、日本企業でもダイバーシティ(多様性)への意識は着実に高まっているが、残念ながら、日本企業の取締役や執行役、執行役員の構成を見る限り、グローバルな基準での「ダイバーシティ経営」が実現しているとは言い難いのが実状だ。
ダイバーシティ経営とは、ジェンダー(性)、国籍、年齢、経歴等、様々なバックラウンドの人々によって経営を担うことであるが、日本企業の経営陣の大部分は新卒採用で、30年ほど同じ会社で働き、年齢は近く、男性で、日本人である。ダイバーシティに乏しい経営陣では、コンセンサスを得るのは容易であるが、意見が均質的になり、経営判断を誤る可能性がある。最終顧客の半分が女性の消費関連企業や大多数が女性の化粧品メーカーが男性だけの経営陣で正しい経営判断ができるか、海外展開している企業を日本人だけで経営するのはおかしいのでは、といった話は最近よく聞かれるところだ。高度成長期であればともかく、グローバルベースで競争が激化し、経営環境の変化のスピードが早くなっている現在、経営陣が均質的であることのリスクは高い。様々な立場、バックグラウンドの人の意見を踏まえてこそ、正しい経営判断が導き出されると言えよう。
日本企業はダイバーシティを社内取締役とバックグラウンド等の異なる「社外取締役」を選任することで実現しようとしている節があるが、それだけでは不十分だろう。社内取締役や執行役、執行役員についても改革が必要である。
冒頭で述べたとおり、現在政府主導で女性役員の増加も求められているほか、ダイバーシティの議論の中では「外国人」や「経歴の異なる人」はしばしば挙がるが、今のところ俎上に載せられることが少ないのが・・・
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