(2016年)4月2日、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業によるシャープの買収が正式に決まった。日本の大手電機メーカーが海外企業に買収されたのはこれが初めて(*)だ。一時はリストラの可能性も指摘されたが、鴻海側は日本国内の雇用は守る方針を示しており、今後2~4年で経営再建を目指すとしている。
* 事業の一部売却であれば、東芝が先月(2016年3月)に白物家電を製造販売していた東芝ライフスタイルの株式を中国の美的集団に売却した例や、三洋電機が2011年に同じく白物家電を製造販売していた三洋アクアの株式を中国ハイアールに売却した例などがあるが、企業グループ丸ごとの被買収となると日本初である。
シャープの場合もそうだったように、「日本企業が買収される」という話になると、買収契約における「雇用」の扱いに注目が集まるもの。雇用の問題はいきおい感情論で語られがちだが、将来雇用を守れるかどうかの鍵を握るのが「買収価格」だ。買収価格は既存株主にとって重要なテーマであるだけでなく、従業員の雇用を中長期にわたって守る視点からも重要なテーマとなる。
買収価格によって・・・
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