M&Aした海外企業の報酬水準が自社(日本企業)よりも高いということは少なくない。場合によっては、自社の社長よりも報酬が高い幹部がゴロゴロいることもある。日本では、子会社の役員報酬は親会社よりも低く抑えられているのが通常だが、この常識をM&Aした海外企業にも当てはめるのは困難だ。
報酬水準は「ホームカントリー」で決まることが多く、その場合、金額は各地域において競争力のある水準に設定されるため、親会社の報酬水準が“上限”にはならない。特に米国では会社規模と報酬水準の連動性が高く、たとえそれが日本企業の米国子会社であったとしても、その報酬水準は会社規模によってある程度決まってくる。また、経営幹部の転職マーケットが成熟している欧米では、経営幹部の報酬は経験や能力に応じた“相場”というものもある。
ウイリス・タワーズワトソン 経営者報酬部門 コンサルタントの小川直人氏によると、日本企業にあっては、このような現実を認識しつつも、「親会社→子会社」という指揮命令系統と、報酬水準の“ネジレ現象”に違和感を持つところも多いという。子会社のトップが親会社の取締役(指名委員会等設置会社であれば執行役)に入ることは珍しくないが、本体の役員となると、・・・
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