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社外取に付与も リストリクテッド・ストックの導入事例

「攻めの経営」を促す役員報酬として鳴り物入りで導入されたリストリクテッド・ストック(譲渡制限付株式報酬)だが(2016年3月2日のニュース「パフォーマンス・シェアの性格を持つ株式報酬も損金算入される方向」他参照)、上場企業での導入はあまり進んでいない。その大きな原因になっていたとみられるのが「開示」だ。リストリクテッド・ストックを付与した場合、「企業内容等の開示に関する内閣府令」により、第三者割当の一種として、付与内容の詳細を「第三者割当の場合の特記事項」に記載しなければならなかった(特に企業が嫌がっていたのは、割当予定先である役員等の一人ひとりの金銭債権額の開示により、「現物出資される金銭債権(報酬)の額」や「各人の差」が露わになってしまうことや割当予定先である役員等の住所が開示されてしまうことであった)。ただ、リストリクテッド・ストックはあくまで役員等に対する報酬の一種であることから、上記内閣府令は8月19日付で改正され、ストックオプションと同様にリストリクテッド・ストックも「第三者割当」の定義から除外されている。付与内容の開示が不要となったことで、今後リストリクテッド・ストックの導入を検討する企業は増えていくだろう。

リストリクテッド・ストック : 一定期間の譲渡制限が付された株式報酬
第三者割当 : 株主であるか否かを問わず、「特定の第三者」に対して新株を割り当てる方法による増資のこと。「特定の第三者」は、親会社、金融機関、業務提携先、自社の従業員などの“縁故者”である場合が多い。このため「縁故募集」とも言われる。経営状態が悪く、公募増資ができない場合の会社再建に利用されることも少なくない。また、業務提携先との資本提携や関係強化にも利用される。払込金額は時価より多少低めとなるのが一般的。
住所の開示 : 割当予定先が個人の場合、住所は市町村(政令指定都市にあっては区)程度の記載で差し支えない(市区町村より下の住所は開示しなくてよい)とされているが、実際には市区町村名の開示すら嫌がる者も少なくない。

検討にあたって参考になるのが、既にリストリクテッド・ストックを導入した企業の事例だ。同じリストリクテッド・ストックであっても、その内容は各社によって微妙に異なる。適時開示された各社のリストリクテッド・ストックの内容は下表のとおりだ。・・・

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