会社法上の解釈の明確化(*)と税務上の取扱いの整備により実現したリストリクテッド・ストックストック(譲渡制限付株式報酬)だが、報酬債権を「株式」の対価と位置付けるリストリクテッド・ストックと、「オプション」の対価と位置付けるストック・オプションには本質的には“似た者同士”と言える。
リストリクテッド・ストックストック(譲渡制限付株式報酬) : 一定期間の譲渡制限が付された株式報酬
* 「会社法上の解釈の明確化」とは、株式の発行は金銭等の「払込み」を前提とするという会社法の規定(199条①二~四)をクリアするため、「役員に付与した金銭報酬債権を現物出資財産として払い込んだ上で、役員に対して株式を発行するスキーム」を経済産業省が考案し、法務省の了承を得たことを指す(2015年12月2日のニュース「日本で株式報酬を支給できない理由」参照)。
「税務上の取扱いの整備」とは、(1)「平成28年度税制改正で、法人税法上、リストリクテッド・ストックを損金算入が認められる「事前確定届出給与」の1つと位置付け、損金算入の対象にするとともに、(2)役員等への所得税については、譲渡制限期間中は株式の処分ができないことを踏まえ、株式の交付日ではなく、譲渡制限解除日において、株式の譲渡制限が解除された時点における株式の時価を課税対象とすることが明確化されたことを指す。
事前確定届出給与 : ‘いつ、いくら(確定額)を支給する」旨を“事前に”確定した上で税務署に届け出をし、それに基づいて支給するもの。ただし、リストリクテッド・ストックについては特例的に届出は不要とされている。
では、インセンティブ型の役員報酬として、リストリクテッド・ストックとストック・オプションのどちらを採用すべきだろうか?・・・
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