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取締役会評価を巡る日英のギャップ

取締役会の実効性評価を求めるコーポレートガバナンス・コードの補充原則4-11③をコンプライ(実施)する割合が上昇している。東証の調査(5ページ参照)によると同原則のコンプライ率は、昨年12月には36%だったが、今年7月においては55%となっている。もともと取締役会評価は日本企業には馴染みのないプラクティスで、必然的にエクスプレインが多く、またコンプライでも決して内実が伴ったものばかりではなかったのが実態だが、コード適用開始から1年以上が経過し、各社の検討及び取り組みが進んでいる。ただ、依然として企業からは、「取締役会評価では何をどこまでやればよいのかよく分からない」という声が聞こえる。その大きな原因となっているのが、補充原則4-11③には「各取締役の自己評価なども参考にしつつ、取締役会全体の実効性について評価・分析すべき」としか書いていないことにある。

これに対し、日本のコーポレートガバナンス・コードが手本にした英国のコーポレートガバナンス・コードでは、取締役会評価に関する詳細な内容が以下のように示されている(金融庁による英国・コーポレート・ガバナンス・コード(仮訳)15ページ下部~16ページ中段より抜粋。なお、番号は便宜上筆者が付したもの)。

①取締役会の評価に当たっては、取締役会のスキル、経験、独立性と会社に関する知識のバランス、性別を含む多様性、取締役会がどのように一体的に機能したかや、有効性に関連するその他の要素を考慮すべきである。
②各取締役が、有効に貢献を重ねているか、職務に対するコミットメントを明らかにしているか(取締役会・委員会の会合への出席その他の責務に対する時間的なコミットメントを含む)を示すことを目的とすべき。
③非業務執行取締役は、筆頭独立取締役のもと、業務執行取締役の見解を考慮しつつ、取締役会議長のパフォーマンスを評価する責務を負うべき。

日本企業においても、差し当たり上記①は取締役会評価の内容に盛り込んでおきたい。というのも、・・・

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